11月は過労死等防止啓発月間|企業が見直したい長時間労働と心の健康

毎年11月は、過労死等防止対策推進法に基づく「過労死等防止啓発月間」です。2026年も厚生労働省は、「しごとより、いのち。」をメッセージに、全国でのシンポジウムや過重労働解消キャンペーンを行っています。

この記事では、過労死等とは何か、そして企業が今あらためて見直したい取組を、厚生労働省の資料をもとに整理します。

目次

過労死等とは?

過労死等とは、仕事による過重な負荷や強い心理的負荷によって起こる、脳・心臓疾患や精神障害、そしてそれらを原因とする死亡のことです。

過労死等防止対策推進法では、次のように定義されています。

  • 業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
  • 業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
  • 死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

過労死等は、本人や家族だけでなく、職場や社会にとっても大きな損失です。

長時間労働は、どのくらいで健康リスクが高まる?

厚生労働省のパンフレットでは、時間外・休日労働が月45時間を超えて長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まるとされています。さらに、発症前1か月におおむね100時間、または発症前2〜6か月にわたって1か月あたりおおむね80時間を超える場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できるとされています。

また、長時間労働だけでなく、睡眠不足や強い心理的負荷も健康障害につながります。パンフレットには、働く人が自分の疲れの状態を確かめられる「労働者の疲労蓄積度自己診断チェックリスト」も掲載されています。

国はどのような目標を掲げている?

国の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(令和6年8月閣議決定)では、次のような数値目標が示されています。

  • 週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする(2028年まで)
  • 年次有給休暇の取得率を70%以上にする(2028年まで)
  • メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合を80%以上にする(2027年まで)
  • 労働者数30人以上の企業のうち、勤務間インターバル制度を導入している企業の割合を15%以上にする(2028年まで)

企業が今、見直したい4つの取組

過労死等の防止は、個人の頑張りや我慢に任せるのではなく、職場の仕組みとして取り組むことが大切です。

  1. 労働時間を正しく把握する:パンフレットでは、労働時間を適正に把握し、36協定の内容を周知することが求められています。
  2. 勤務間インターバル制度を検討する:終業から翌日の始業までに一定の休息時間を設ける制度で、睡眠時間の確保に役立ちます。導入は事業主の努力義務です。
  3. 心の健康を守る仕組みをつくる:50人未満の事業場でも、2028年4月からストレスチェックが義務化されます。相談しやすい職場づくりが欠かせません。
  4. ハラスメントを防止する:パワハラ、セクハラ、カスハラなどへの対応も、心理的負荷を減らすための大切な取組です。

管理職が部下の「いつもと違う様子」に気づき、早めに声をかけ、必要に応じて産業保健スタッフなどの専門家につなぐことも重要です。

まとめ

過労死等防止啓発月間は、自社の働き方をあらためて見直すよいきっかけです。労働時間の把握、休息の確保、心の健康づくり、ハラスメント防止を、一つひとつ仕組みとして整えていきましょう。

当事務所では、社会保険労務士・公認心理師として、労働時間管理や就業規則の見直し、勤務間インターバル制度の導入支援、メンタルヘルス研修やハラスメント防止研修を行っています。働き方の見直しを検討している企業・団体様は、お気軽にご相談ください。

働く人の健康と心理、職場環境の関係については、拙著『部下を知らない上司のための育成の極意』(労働新聞社)でも「健康-心理-環境モデル」として解説しています。著書の一覧はこちらをご覧ください。

参考文献

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