“価値観の違い”の正体は? 若手とベテランのすれ違いを生む本当の原因

若手社員とのすれ違いは「コミュニケーション不足」だけではないかも?
ある企業様に研修の打ち合わせで伺った際、こんな声をいただきました。
「最近の若手とコミュニケーションが取れないんです。上司とのジェネレーションギャップや価値観の違いが大きくて…」
詳しくお話を伺うと、その違和感の背景には、20代と50代という世代間ギャップがありました。
しかし、掘り下げていくと、問題の本質は単なる世代の違いではありませんでした。
実は「ルールが共有されていなかった」だけだった。
たとえば、若手社員が以下のような行動を取っていたそうです。
•工具や文具を使い終わっても元の場所に戻さない
•社内備品を丁寧に扱わない
•職場の「暗黙の了解」を知らずに破ってしまう
これに対して上司やベテラン社員は、「最近の若者はモラルがない」と捉えてしまっていました。
ですが、実際には“知らされていない”だけだったのです。
コンプライアンス研修で伝えた「3つのルール」
そこで当事務所では、コンプライアンス研修を実施しました。
「コンプライアンス」というと法律の話を思い浮かべがちですが、
職場で必要なのは以下の3層のルールの共有です:
1. 法律
労働基準法など、働くうえでの基本的な法令知識。
2. 社内ルール
就業規則や服務規律など、企業としての明文化された方針。または、マニュアルで方針を示されている場合もあります。
※実際には「就業規則を見たことがない」という社員も多く見受けられます。
3. 慣習・慣わし(=暗黙知)
「朝は持ち回りで掃除する」「服装は自由だけどビジネスカジュアルが基本」など、経験で覚えてきた“空気”や“常識”が、実は最も伝わっていません。
この暗黙知については、新卒や若手だけでなく、中途入社の方や転勤してきた方もこの部分を知らずにコミュニケーションに苦労されていることが結構あります。
「教えていないのに、できて当然」と思っていませんか?
このような“当たり前”は、キャリアの有無に関係なく伝えなければ伝わらないものです。
そして実際の現場では、以下のような状態が起きています:
•「教えていない(伝えたつもりになっている)」
•「教えているが、的を射ていない」
•「本人の特性や理解度に合っていない伝え方をしている」
これらが積み重なると、「価値観の違い」や「モラルの欠如」と誤解され、
本来なら防げたはずの摩擦や不信感が生まれてしまいます。
限られた社内資源だけでは、真の課題は見えにくく、コミュニケーションの問題と思われがちな事例でも、実はルールや規範の共有不足が根本原因だったというケースは少なくありません。
「自社でも同じようなことが起きているかも…」
「指導しているのに、なぜ伝わらないのか分からない…」
そんな疑問をお持ちの方は、一度、外部の視点を入れてみませんか?
職場のルールや価値観を“見える化”し、伝える仕組みづくりをサポート
当事務所では、法令や規則の解説にとどまらず、組織ごとの慣習や文化を言語化し、若手にも伝わる形で整理・共有する研修やコンサルティングをご提供しています。
セミナー・研修・講演

リーダー育成、メンタルヘルス、ハラスメント防止、採用と定着等、ニーズに対応した実践型研修を提供します。
コンサルティング

採用支援、ホワイト財団、介護や福祉の処遇改善加算、就業規則、ハラスメント防止等のコンサルティングを行います。
著書・執筆

著書の執筆、雑誌への寄稿・監修、リーフレット原稿の作成を行います。また専門家としてインタビューにも応じます。