【2026年義務化へ】カスタマーハラスメント対策は企業の必須課題に

~従業員のメンタルヘルスと経営リスクを守るために~

近年、企業へのクレーム対応が過熱する中で、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉が社会に浸透してきました。
2026年には、改正労働施策総合推進法が施行され、事業主にはカスタマーハラスメント対策が法的に義務化されます。企業にとって、カスハラ対応は“努力義務”から“経営責任”へと移行しつつあります。

▷ カスハラとは?

「社会通念を超える顧客等の言動により、従業員の就業環境を害する行為」を指します。
たとえば、正当な理由のない土下座の要求や、長時間の拘束、暴言などが該当します。

▷ なぜ今、対策が必要なのか?

1. 従業員への深刻な影響
カスハラを経験した従業員は、経験していない人に比べて2.5倍以上の高ストレス状態にあり、労災認定件数も年々増加しています。自殺に至った事例も報告されており、放置はできません。

2. 経営への直接的な損失
カスハラによる退職、休職、採用難、訴訟リスクを含めると、500名規模の企業で年間1,000万円以上の損失になるとも言われています。

3. 現場での困難
現場では「グレーゾーンの判断が難しい」「顧客第一主義が根強く、対処が困難」といった声が多く、経営層と現場の温度差が大きな課題となっています。

▷ 企業が取り組むべき対策とは?

厚生労働省が示す対応の基本は以下の7つです:

  1. トップの方針明確化と従業員への周知
  2. 実態の把握(ストレスチェックとの連携も有効)
  3. 対応マニュアルや相談体制の整備
  4. 教育研修の実施
  5. 発生時の適切な対応と再発防止
  6. プライバシー保護と不利益取扱いの禁止
  7. 組織文化の見直し(過度な“お客様第一主義”からの脱却)

▷ 人事部門の重要な役割

人事のスタッフには、カスハラ実態の可視化、メンタルケア体制の構築、セルフケア・ラインケア研修の提供など、企業の持続的成長を支える重要な任務が求められています。

▷ 判例も警鐘を鳴らす

対応が不十分だった医療機関では、使用者の「安全配慮義務違反」が認定されました。一方で、コールセンターではマニュアルや相談体制が整っていたことから違反が否定されるなど、事前の備えがリスクを大きく左右することが明らかになっています。

まとめ

カスタマーハラスメント対策は、従業員の働く環境を守るだけでなく、企業経営そのものを守る“費用対効果の高い投資”です。2026年の法改正を前に、今こそ組織全体での対応体制構築を進めていきましょう。


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