大学で「コンプライアンス遵守」の講義をさせていただきました

先日、ある大学で「コンプライアンスの遵守」について講義をさせていただきました。
コンプライアンスという言葉は「聞いたことはあるけれど、実際にはよく知らない」という人も多いかもしれません。だからこそ、大学でこのテーマを取り上げる意義は大きいと感じています。今回は、講義でお話しした内容の一部をご紹介します。
■ コンプライアンスってなんだろう?
私はコンプライアンスを以下の3つに分けて説明しました。
- 法令の遵守(法律・条例・ガイドラインなど)
- 社内外のルールの遵守(就業規則・マニュアルなど)
- 倫理・道徳(文章化されていない社会の常識やマナー)
コンプライアンスは「守らされるもの」と思われがちですが、実は「自分の身を守るためのもの」でもあります。
■ 知っておかないと損する制度
例えば、国民年金の学生納付特例制度。
学生であっても原則として国民年金への加入義務がありますが、収入が少なく払えない場合は申請することで納付を猶予できる制度があります。
しかし、この制度は「申請しないと適用されない」ため、知らなかったり放置したままだと、いざというとき(例えば障害を負ってしまったときなど)に障害基礎年金が受け取れない場合もあります。
つまり、「知っていれば守られる」制度も、知らなければ損をするということです。
■ 怪しいバイトや犯罪から身を守る
最近は、「高額バイト」「闇バイト」などの甘い誘いがSNSなどにあふれています。
・口座や携帯電話を貸す
・不審なモノを運ぶ
・高額報酬の“簡単な作業”といわれるもの
これらの多くは、詐欺や違法行為の片棒を担がされるリスクがあります。また、友人からの違法な誘い(薬物や飲酒運転など)も、断ることができずに巻き込まれるケースがあります。
講義の中では、「断る勇気」「想像力を持つこと」「一人で抱え込まないこと」の3つを大切にしてほしいとお伝えしました。
■ 働くときに必要なルール
学生でもアルバイトをする人は多いですよね。働くときには以下のようなルールが存在します。
- 労働基準法:労働時間や賃金など、働く条件を定めた法律
- 労働契約:雇う側と働く側の取り決め
- 就業規則:会社独自のルール
- 労働協約:労働組合と会社が交わすルール(大企業等)
また、最低賃金も重要です。最低賃金は毎年改定され、地域ごとに異なります。「知らなかった」では済まされない問題もあるので、自分の労働環境に関心を持つことが大切です。
■ ハラスメントの問題も“自分ごと”として考える
ハラスメントにはさまざまな種類があります。
- パワハラ(パワーハラスメント)
- セクハラ(セクシャルハラスメント)
- マタハラ(マタニティハラスメント)
- カスハラ(カスタマーハラスメント)
- アカハラ(アカデミックハラスメント)
特に大学で起きやすいアカデミックハラスメントは、教授や学生間の立場の差を利用した嫌がらせであり、身近な問題でもあります。
「相手がどう受け取るか」が大事であり、自分の言動が相手を傷つけていないか振り返る視点も大切です。
■ 最後に伝えたいこと
コンプライアンスを守ることは、決して堅苦しいことではありません。
むしろ、**自分の人生や安全、将来を守るための“武器”**になります。
- ノリや雰囲気に流されない
- 目先ではなく、長期的に考える
- 困ったら誰かに相談する
講義の最後には、学生の皆さんから「断るのは難しい」「でも自分で考えなければいけないと思った」などの感想をいただきました。
法律や制度は、「自分を縛るもの」ではなく「自分を守ってくれる味方」です。ぜひ、うまく付き合っていってほしいと願っています。
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