看護管理者向けセミナーを実施しました

看護師長・主任など管理職の方を対象に、看護現場における人事労務の基本と、現場で実践できる働き方改革をテーマとしたセミナーを実施しました。内容は、労働法規・就業規則・ワークライフバランス・健康管理・ハラスメント防止など、管理職が知っておくべき幅広い労務知識を中心に構成しました。
実際に寄せられた質問と講師の回答
質問①:パートタイム職員が「12月は丸々出勤できない」と申し出た場合の対応
パート職員であっても、労働契約上の勤務日・勤務時間を履行する義務があります。
一方的な「出勤できない」という申し出は原則として労務不履行にあたります。本人に理由(体調・家庭事情など)を確認したうえで、やむを得ない事情があれば「一時的な休職」や「契約一時停止」を検討します。また、扶養内勤務者の時間管理については、勤務実績やシフト管理は師長(使用者側)が行い、扶養枠の収入調整は本人の自己管理とし、最終的には双方で確認・調整する体制が望ましいと説明しました。
質問②:任意研修でも残業代を支払う必要があるか
「任意研修」であっても、実際に業務命令または事実上の強制がある場合は労働時間とみなされ、残業代支払いが必要です。たとえば、上司が強く勧める、受講しないと評価や昇進に影響する、勤務時間外に会社施設で実施する――といった場合は「労働時間」に該当します。一方で、完全に自由参加で自己啓発目的(資格取得・スキルアップなど)の研修であれば、労働時間には該当しません。「名目が任意でも実質が強制」にならないよう、案内文や参加方法の明示が重要であることを解説しました。
残業削減ワークで出た具体策
グループワークでは、各施設の課題をもとに残業削減に向けた実践策を検討しました。
参加者の皆さんからは、以下のような具体的な改善案が挙がりました。
(1)記録・文書作業の効率化
- 記録時間を業務内で確保できるようスケジュールを再構成
- 記録用テンプレートや定型フォーマットを作成し、入力を時短化
- 文書送付・保管業務の手順を統一し、誰でも対応できる体制に
(2)コミュニケーションとマネジメントの工夫
- 管理職が「声かけ」を行い、勤務時間の意識を高める
- 残業削減の目的をチームで共有し、改善意識を高める
- ネット掲示やチャットツールで報告・連絡を完結させる仕組みを整備
(3)業務分担と人員配置の見直し
- タスクシェア(業務共有)・タスクシフト(役割変更)を推進
- 繁忙時間帯に合わせた人員配置を見直し
- PNS(パートナーシップ・ナーシング・システム)を導入し、相互補助体制を強化
(4)勤務体制の柔軟化
- 夜勤者の負担軽減のため、早出・遅出など勤務形態を再構成
- 業務終了前の引き継ぎを短縮し、翌勤務者との連携を効率化
まとめ
本セミナーでは、「制度」と「現場運用」をつなぐ視点から、看護管理者が直面する課題に具体的な解決策を提示しました。今後も、看護職が安心して働ける環境づくりを支援するため、法と実務をつなぐ研修を継続してまいります。
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